夜明けと共に

何が見えた?

こんな子の話を書きたい

 その子は異端だった。別に、おかしな行動を取る、とか、感情が見えない、とか、そういった、わかりやすい類いの物ではなく。笑いもすれば泣きもする。普通だ。

 けれど、異端。

 簡単に言えば、関心がない。関心がない物の1つや2つ、誰にでもあるだろう。けれどその子の場合、そんなものでは無かった。何に対しても関心がないと言って良いくらいに。

 無関心。 ただ、無関心。

 あの人のこと、どう思う? と訊かれても「別に……普通だけど?」と答えるだけ。好きでも嫌いでも憎くも気持ち悪いとも思わない。

 何に対しても普通。何に対しても無関心。

 本人は、自分が何に対しても無関心だということに気付いていない様だったが。彼はほとんどの物対して無関心で、あくまで普通なのだ。

 普通。

 他は、何もない。

 それだけ。無関心なだけ。そう言ってしまえば簡単な話で。けれど、他者から見たその思考は、それなりに異端だ。異端。異質。異常。そして、気持ち悪い。