崩れる
ガラ、と大きな音が聞こえた。それとほぼ同時に目前の建物が崩壊し始めた。
原因はつい先程起こった地震らしい。恐らく、建物が古かったがために耐え切れなかったのだろう。
周りの人は何だか焦って騒いでいる。五月蝿い。
僕は建物の前まで歩き、自分の住み慣れた家が崩れ去ってゆくのをじっと見つめた。
どうせ全て崩れるんだから、積み上げたりしなければ良かったかな。なんて少し後悔しながら。
「あーあ」
くだらない。積み重ねが大切と言っても、積み重ねない方が良い物だってあるんだ。
ノートや教科書、布や雑巾に積み木。積み重ねたってどうせいつかは崩れるんだから、積み重ねるという行為はしない方が良いのではないか。
カラン
最後に小さな声を上げて、家だったモノはただの瓦礫の山と化した。